第3部:ドキュメントスキル / 第1章:読み書きの基本

ExcelとWordの活用

エンジニアが仕様書や設計書を作成・編集する際によく使うExcelとWordの活用方法を解説します。

📖 読了目安 約20分 対象:ドキュメント作成スキルを身につけたい方

なぜExcelとWordが重要か

エンジニアの仕事はコードを書くだけではありません。多くの現場で、ドキュメント作成にExcelとWordが使われています。

  • 仕様書・設計書 → Excel/Word で作成されていることが多い
  • テスト仕様書 → Excel で管理されることが多い
  • 議事録・報告書 → Word で作成されることが多い

これらのツールを使いこなせると、ドキュメント作業が格段に効率化します。

Excel

Excelが使われる場面

Excelは表形式でデータを整理・管理するのに適しています。以下のようなドキュメント作成に用いられます。

用途具体例
仕様書・設計書画面項目定義書、テーブル定義書
進捗管理タスク一覧、ガントチャート
テスト仕様書テストケース、テスト結果
一覧表マスタデータ、設定値一覧

基本操作

セル操作

Excelでよく使うセル操作のショートカットです。

操作ショートカット
セル編集F2
セル内改行Alt + Enter
行挿入Ctrl + Shift + +
行削除Ctrl + -
オートフィルセルをドラッグ

移動

シート内を効率よく移動するためのショートカットです。

操作ショートカット
データの端へ移動Ctrl + 矢印キー
シート先頭へCtrl + Home
シート末尾へCtrl + End
シート切り替えCtrl + PageUp/PageDown

よく使う機能

フィルター

データを絞り込んで表示できます。大量の行を扱うときに便利です。

  1. データ範囲を選択
  2. [データ] → [フィルター]
  3. 列ヘッダーの▼をクリックして絞り込み条件を設定

使用例:

  • ステータスが「未完了」のタスクだけ表示
  • 担当者が「自分」のものだけ表示

条件付き書式

条件に応じてセルの見た目を変更できます。視覚的に重要な情報を強調できるので、レビュー時に見落としが減ります。

  1. セル範囲を選択
  2. [ホーム] → [条件付き書式]
  3. ルールを設定

使用例:

  • 期限切れのタスクを赤色に
  • テスト結果「NG」を赤色に
  • 進捗率に応じてバーを表示

ウィンドウ枠の固定

ヘッダー行や列を常に表示できます。大きなシートでスクロールしても見出しが見える状態を保てます。

  1. 固定したい行の下、列の右のセルを選択
  2. [表示] → [ウィンドウ枠の固定]

使用例:

  • 1行目のヘッダーを常に表示
  • A列のID列を常に表示

仕様書作成のコツ

1. 列幅を統一する

列幅がバラバラだと読みにくくなります。また、チーム内での見た目の統一感も重要です。ある程度の統一ルールを決めておきましょう。

2. セル結合は最小限に

セル結合を多用すると、コピー&ペーストやフィルターが使いにくくなります。データとして扱いにくい形になってしまうので、避けるのが無難です。

3. 入力規則を活用

ドロップダウンリストで入力ミスを防げます。複数人で作業する際に、入力形式の統一が図れます。

  1. セル範囲を選択
  2. [データ] → [データの入力規則]
  3. [リスト]を選択し、選択肢を設定

4. 改版履歴を残す

ドキュメントの変更履歴を別シートに記録しましょう。後でどの版から何が変わったのかを辿れます。

版数日付変更内容変更者
1.02024/01/15新規作成田中
1.12024/01/20項目追加佐藤

Word

Wordが使われる場面

Wordは文章中心のドキュメント作成に適しています。以下のようなドキュメント作成に用いられます。

用途具体例
仕様書機能仕様書、外部設計書
手順書操作マニュアル、構築手順書
報告書障害報告書、議事録
提案書技術提案書、見積書

基本操作

書式設定

文字や段落の見た目を整えるショートカットです。

操作ショートカット
太字Ctrl + B
斜体Ctrl + I
下線Ctrl + U
書式のコピーCtrl + Shift + C
書式の貼り付けCtrl + Shift + V

ナビゲーション

ドキュメント内を素早く移動するためのショートカットです。

操作ショートカット
検索Ctrl + F
置換Ctrl + H
ジャンプCtrl + G
見出しへ移動ナビゲーションウィンドウ

よく使う機能

スタイルの活用

スタイルを使うと、見出しや本文の書式を統一できます。後から一括で書式変更も可能です。

  1. テキストを選択
  2. [ホーム] → [スタイル]から選択
    • 見出し1、見出し2...:章タイトル
    • 標準:本文

スタイルを使うメリット:

  • 書式が統一される
  • 目次を自動生成できる
  • 後から一括で書式変更できる

目次の自動生成

見出しスタイルを使っていれば、目次を自動生成できます。ページ数が多いドキュメントでは必須です。

  1. 目次を入れたい場所にカーソルを置く
  2. [参考資料] → [目次]
  3. スタイルを選択

目次の更新:

  • 目次を右クリック → [フィールドの更新]
  • または Ctrl + A → F9

図表番号

図や表に自動で番号を振れます。相互参照とセットで使うと、本文中から「図1を参照」のようにリンクを張ることができます。

  1. 図や表を選択
  2. [参考資料] → [図表番号の挿入]
  3. ラベル(図/表)を選択

仕様書作成のコツ

1. スタイルを必ず使う

直接書式設定(「この箇所だけ大きくする」など)をせず、スタイルを使いましょう。統一感が保たれ、後で一括変更が容易になります。

2. ヘッダー・フッターを活用

すべてのページに共通して表示される情報をヘッダー・フッターに入れます。

  • ヘッダー:ドキュメント名、版数
  • フッター:ページ番号、日付

3. 改ページを適切に使う

章の始まりで改ページを入れると、ドキュメント構造が明確になります。

  • 章の始まりで改ページ:Ctrl + Enter

4. 変更履歴を活用

レビュー時に変更箇所を追跡できます。チーム内でドキュメントをレビューする際に便利です。

  • [校閲] → [変更履歴の記録]

効率化のヒント

テンプレートを作る

よく使う文書のテンプレートを作っておくと、毎回ゼロから作る必要がありません。チーム内で共有すれば、ドキュメント作成の属人化も防げます。

テンプレートの例:

  • 表紙
  • 改版履歴
  • 目次
  • 第1章 概要
    • 1.1 目的
    • 1.2 範囲
  • 第2章 機能仕様
  • 付録

キーボードショートカットを覚える

マウス操作を減らすと作業が大幅に速くなります。以下は最低限覚えるべきショートカットです。

  • Ctrl + C/V/X(コピー/貼り付け/切り取り)
  • Ctrl + Z/Y(元に戻す/やり直し)
  • Ctrl + S(保存)
  • Ctrl + F(検索)

バージョン管理を意識する

ドキュメントのバージョンを適切に管理すると、後でどの版を使うべきか、どんな変更があったかを把握しやすくなります。

ファイル名でバージョン管理する場合:

  • 機能仕様書_v1.0.docx
  • 機能仕様書_v1.1.docx
  • 機能仕様書_v2.0.docx

日付を使う場合:

  • 機能仕様書_20240115.docx
  • 機能仕様書_20240120.docx

ポイント

プロジェクトのルールがあれば、それに従いましょう。チーム全体で統一されたバージョン管理方式を使うことが重要です。

まとめ

Excel

Excelは表形式のデータを効率よく管理するためのツールです。以下の機能を使いこなすことで、ドキュメント作業が大幅に効率化されます。

機能用途
フィルターデータの絞り込み
条件付き書式視覚的な強調
ウィンドウ枠固定ヘッダーの常時表示
入力規則入力ミス防止

Word

Wordは文章中心のドキュメント作成に向いています。以下の機能を活用すれば、見た目も美しく、管理しやすいドキュメントが作成できます。

機能用途
スタイル書式の統一
目次自動生成
図表番号自動採番
変更履歴レビュー時の追跡

ExcelとWordは「なんとなく使える」状態から「効率よく使える」状態にすることで、ドキュメント作業の生産性が大きく向上します。機能を少しずつ覚えて、自分の作業スタイルに合わせて活用していきましょう。