第5部:現場別ガイド / 第1章:役割別ガイド

PG専任の場合

プログラミング(コーディング)が主な業務の場合のガイドです。設計書を読んで実装し、コードレビューで学ぶサイクルが日々の仕事になります。

📖 読了目安 約15分 対象:PG専任としてキャリアを始める方

この役割の特徴

PG(プログラマー)専任とは、設計書を受け取ってコーディングを進める役割です。

  • 設計書を読んで実装する:自分で設計を考えるのではなく、与えられた要件・設計に基づいてコードを書く
  • コーディングと単体テストが主な業務:実装と「自分が書いたコードの動作確認」に時間を使う
  • コードレビューを受ける機会が多い:先輩から指摘をもらうことで、スキルアップの機会がある

よくある1日の流れ

毎日の活動パターンを図で見てみましょう。

flowchart LR
    A[9:00
朝会] --> B[9:30
実装作業] B --> C[12:00
昼休み] C --> D[13:00
実装作業] D --> E[15:00
レビュー対応] E --> F[17:00
進捗報告] F --> G[18:00
退勤]

朝は進捗確認、午前中に集中して実装、午後はレビュー対応と進捗報告が主な活動です。以下はより詳しいタイムスケジュール例です。

時間活動詳細
9:00朝会今日の予定を共有、困っていることがあれば相談
9:30実装作業設計書を確認しながらコーディング
10:30動作確認作った機能の動作確認、単体テスト
12:00昼休み
13:00実装作業午前の続き、または別タスク
15:00レビュー対応PRへの指摘対応、または他の人のPRを読む
16:00質問・相談詰まったことを先輩に確認
17:00進捗報告今日の成果と明日の予定を報告
17:30翌日の準備明日やることを整理、メモを残す
18:00退勤

ポイント

「実装→動作確認→実装→動作確認」のサイクルを細かく回すことで、問題を早期発見できます。

最初の1ヶ月で覚えること

第1週:環境に慣れる

最初の1週間は、開発環境や基本的なツール操作に慣れることが目標です。

やること完了の目安
開発環境構築ローカルでアプリが動く
Gitの基本操作clone、commit、push、PRが作れる
コーディング規約の確認規約ドキュメントを一読
既存コードを読む主要なクラスの役割を把握

第2週:小さなタスクをこなす

環境構築が済んだら、簡単なバグ修正や小さな機能でコーディングの流れをつかみます。

やること完了の目安
簡単なバグ修正1件完了してレビュー通過
単体テストを書くテストコードを1つ書いてみる
レビュー指摘の対応指摘内容を理解して修正

第3〜4週:実装力をつける

簡単なタスクで流れが分かったら、少し複雑な機能に取り組み始めます。

やること完了の目安
小さな機能追加設計書を読んで実装完了
デバッグの実践デバッガを使ってバグを特定できる
コードレビューへの慣れ指摘を「学び」として受け止められる

1ヶ月後の目標状態

1ヶ月を通じて、以下の4つの能力を身につけることを目指します。

flowchart TB
    A[1ヶ月後の目標] --> B[設計書を読んで実装できる]
    A --> C[分からないことを質問できる]
    A --> D[レビュー指摘に対応できる]
    A --> E[Gitの基本操作ができる]

この経験で身につくスキル

PG専任での経験を通じて、以下のスキルが身につきます。

技術スキル

スキル説明
コーディング力設計を読み解き、動くコードに落とし込む力
デバッグ力問題の原因を特定し、修正する力
テスト力自分のコードが正しく動くことを確認する力
コードリーディング力既存コードを読んで理解する力
ツール活用力IDE、Git、デバッガなど開発ツールを使いこなす力

ビジネススキル

スキル説明
正確性仕様通りに実装する力
報告力進捗や課題を適切に伝える力
受容力フィードバックを素直に受け止める力

目指せる人材像

PG専任としてスキルを磨いていくと、その後のキャリアパスはいくつかあります。

flowchart TB
    A[PG専任からのキャリア] --> B[シニアプログラマー]
    A --> C[テックリード]
    A --> D[設計者・SE]
    A --> E[スペシャリスト]

    B --> B1[後輩の指導ができる]
    C --> C1[技術的な方針を決められる]
    D --> D1[設計から実装まで担当]
    E --> E1[特定技術の専門家]

次の表は、各キャリアパスの目安期間と説明です。

人材像説明目安期間
一人前のPG一人で機能を実装できる1〜2年
シニアPG後輩指導、難しい実装を担当3〜5年
テックリード技術選定やアーキテクチャ判断5年〜

成長を感じられるポイント

あなたが成長しているかは、以下のチェックリストで自己評価できます。各時期で「できるようになったこと」を意識することで、モチベーションにつながります。

3ヶ月後

  • [ ] 簡単なタスクを一人で完了できるようになる
  • [ ] レビュー指摘が減ってくる
  • [ ] デバッグで原因を見つけられるようになる

6ヶ月後

  • [ ] 設計書を読んでスムーズに実装できる
  • [ ] 他の人のPRをレビューして意見を言える
  • [ ] 「この実装ならこう書く」という自分のスタイルができる

1年後

  • [ ] 機能単位で任せてもらえる
  • [ ] 新人に教えられることがある
  • [ ] 技術的な議論に参加できる

成長のサイン

「以前は分からなかったコードが読めるようになった」「レビュー指摘の意図が分かるようになった」と感じたら、確実に成長しています。

本編で特に重要な章

このカリキュラムの他の章のなかで、PG専任として特に参考になるものを挙げます。

重要度理由
コードを読む基礎★★★日常業務で必須
デバッグの基本★★★問題解決に必須
実装の進め方★★★効率的な実装のために
Step8: コードレビューの受け方★★★品質向上と成長のために
設計書・仕様書の読み方★★☆正しく実装するために

追加で学ぶと良いこと

PG専任としてのキャリアを深掘りするために、追加で学習すると良いテーマがあります。優先度に分けて紹介します。

優先度:高

内容説明学習方法
リーダブルコード読みやすいコードの書き方書籍「リーダブルコード」
ユニットテスト自動テストの書き方言語別のテストフレームワーク
デザインパターン入門よく使うパターンステップアップガイド

優先度:中

内容説明学習方法
リファクタリングコードの改善方法書籍「リファクタリング」
SOLID原則設計の基本原則ステップアップガイド
コードレビューの仕方レビューする側の観点実践で学ぶ

よくある悩みと対処法

PG専任として働く中で、多くの新人が同じような悩みにぶつかります。各悩みに対する対処法を、アコーディオンで確認できます。

「設計書の意図が分からない」
  1. まず自分なりに解釈してみる:わからないまま質問するより、一度は自分で考察する
  2. 「〇〇という理解で合っていますか?」と確認:曖昧な質問ではなく、自分の理解を示しながら質問する
  3. 遠慮せず質問する:30分以上迷ったら、相談するタイミング。先輩はそれを想定しています
「コードレビューが怖い」
  1. 指摘は「コード」へのフィードバック:あなたの人格や能力を否定しているわけではありません
  2. 学びの機会と捉える:「これで成長できる」というマインドセットを持つ
  3. 同じ指摘を繰り返さないようメモする:指摘内容をメモして、次回から同じミスを避ける習慣をつける
「自分のコードに自信がない」
  1. 最初は当然のこと:全員がこの段階を経て成長しています
  2. 先輩のコードを参考にする:良いコード例を意識的に学んで、自分のスタイルを形作る
  3. レビューを通じて改善する:指摘を受けるたびに少しずつ改善していく。1年後には大きな差になります
「進捗が遅い気がする」
  1. 最初は遅くて正常です:環境整備、既存コード理解に時間がかかるのは当然
  2. 小さな改善を積み重ねる:「前より良くなった」を意識する。一度に完璧を目指さない
  3. 先輩に相談する:効率的な進め方のコツを教えてもらう。プロのやり方を学ぶことで、スピードが大きく改善します

成長のためのアドバイス

PG専任として1年間で大きく成長するための、実践的なアドバイスを紹介します。

コードを読む時間を作る

コーディング以上に「読む」ことが重要です。

  • 先輩のコードを読んで学ぶ:設計や実装パターンの「プロのやり方」を体で覚える
  • オープンソースのコードを読む:業界標準の実装パターンに触れる
  • 良いコードのパターンを吸収する:「なぜこう書くのか」を意識的に分析する

小さな改善を積み重ねる

最初から完璧を目指す必要はありません。

  • 「前より良くなった」を意識する:昨日の自分と今日の自分を比較して、成長を実感する
  • 一度に完璧を目指さない:「今月はテストコードを書く習慣をつける」というように、1つずつ改善する
  • フィードバックを活かす:レビュー指摘を次のコード作成に反映させる。その繰り返しが成長につながります

技術的な興味を持つ

仕事として与えられたコードを書くだけではなく、技術への好奇心を持つことが長期的な成長につながります。

  • 「なぜこう書くのか」を考える:表面的に理解するのではなく、背景にある考え方を学ぶ
  • 新しい技術に触れてみる:仕事の延長で、新しいライブラリやツール、言語機能を試す
  • 勉強会や技術記事を読む:業界動向や最新のベストプラクティスに目を向ける。同期と情報交換する場にもなります